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不動産売却 投稿日:更新日:

【解体費が払えない空き家】どうする?やってはいけないNG行動と賢い3つの対処法

「本当はすぐにでも解体したいのに、解体費用が高額で払えない」と、相続した実家の扱いに困って頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

管理が行き届いていない空き家は、倒壊の危険や治安・景観の悪化を招き、深刻な社会問題となっています。中には「特定空き家」に指定され、固定資産税が大幅に増えるケースも少なくありません。

この記事では、解体費用が払えない時に”やってはいけないNG行動”を解説します。さらに、補助金の活用や家の売却など、賢く問題を解決するための具体的な方法も紹介しています。この記事を読めば、解体費用が払えなくても問題を解決する方法が見つかり、今取るべき行動が明確になるでしょう。

やってはいけない3つのNG行動

家の解体費用が払えないと悩んでいるとき、焦りからつい取ってしまいがちな行動があります。ここでは、解体費用が払えない空き家で、やってはいけない3つのNG行動を紹介します。

空き家を放置する

解体費用が払えないからといって、空き家を何もせずに放置することは避けましょう。

何の対策もせずに空き家を放置すると、自治体から「特定空き家」に指定される恐れがあります。「特定空き家」とは、倒壊の危険があったり、衛生上・景観上の問題があったりして、放置することが不適切と判断された空き家のことです。特定空き家の指定を受けると、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。これは、建物が建っていることで受けられていた税金の優遇措置が適用されなくなるためです。

参考:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」

さらに、自治体からの改善命令に従わない場合、行政が所有者に代わって強制的に家を解体する「行政代執行」がおこなわれることもあります。その際にかかった数百万円もの解体費用は、全額所有者に請求されます。

このように、空き家の放置は金銭的なリスクを高める恐れがあるため、問題が深刻化する前に早めの対策を講じましょう。

個人で解体業者を探して依頼する

個人で解体業者を探して直接依頼すると、思わぬトラブルにつながるため、慎重に検討しなければなりません。解体費用を払えないという焦りから、「格安」をうたう業者に安易に飛びつくと、かえって損をする恐れがあるのです。

例えば、見積金額は他社より低いものの、いざ解体工事が始まると、あらゆる理由をつけて追加費用を次々と請求する解体業者が存在します。また、解体で出た木材やコンクリートガラなどを山中に不法投棄して、廃棄物処理費用を軽減している悪質な業者もあります。この行為は違法行為であるため、後から依頼者も責任を問われる可能性があるのです。

このようなトラブルを避けるためには、必ず複数の業者から相見積もりを取りましょう。複数の見積もりを比較すれば、おおよその費用相場がわかり、不当な請求を見抜くことができます。また、単純な価格の比較だけでなく、工事内容の詳細や担当者の対応まで含めて総合的に判断し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

専門家への相談を先延ばしにする

専門家への相談を先延ばしにした上で自己判断であれこれ判断してしまうと、問題解決の選択肢を狭めることにつながります。空き家対策は、法律や税金、不動産の知識が複雑に絡み合うため、個人の判断だけで最適な解決策を見つけるのは難しいのです。「費用がないから解体できない」と一人で悩み続けていても、事態は好転しません。

例えば、空き家の売却を考えるにしても、解体して更地で売るべきか、古い家が建ったままの「古家付き土地」として売るべきかは、立地や建物の状態によってどちらが得かは異なります。また、使えるとは知らなかった補助金制度や、所有者にとって有利な売却方法など、専門家でなければ持ち合わせていない解決策も多くあるでしょう。

不動産会社や税理士などの専門家は、所有者の状況を客観的に分析し、解体・売却・賃貸など、個々のケースに合わせてさまざまな可能性の中から最善の案を提案してくれます。問題を一人で抱え込まず、まずは専門家の知見を頼ることが解決への近道です。

賢く解決!解体費用を捻出するための3つの対処法

空き家の解体費用が払えなくても諦める必要はありません。視点を変えれば、負担を減らしながら解体費用を捻出する方法が見つかります。ここでは、賢く解体費用を捻出するための具体的な3つの対処法を紹介します。

対処法①国や自治体の補助金制度を活用する

まずは、国や自治体の補助金制度を活用することを検討してみましょう。国や自治体の補助金制度は、倒壊の危険がある老朽化した空き家を減らし、地域の安全と景観を守る目的で設けられています。補助金制度が利用できれば、自己資金が少なくても解体工事に着手できる可能性があります。

制度の名称や内容は自治体によってさまざまですが、代表的なものに杉並区の「老朽危険家屋解体撤去補助金」や京都市の「京都市空き家等の活用・流通補助金」などがあります。杉並区の「老朽危険家屋解体撤去補助金」の補助金額は「解体工事費の80%」か「150万円」のいずれか低い金額です。一方、京都市の「京都市空き家等の活用・流通補助金」の補助金額は、解体工事費の1/3(上限60万円)です。

参考:杉並区「老朽危険空家除却費用の助成制度」

参考:京都市「【令和7年度】京都市空き家等の活用・流通補助金について」

手続きの一般的な流れとしては、まず自治体の担当窓口へ事前相談をするところから始まります。そこで制度の対象になるかを確認後、解体業者から見積もりを取得し申請書類を提出、解体工事完了後に補助金を受け取る流れです。

注意点として、必ず工事契約前に申請し、交付が決定してから工事を始めるようにしましょう。また、予算がなくなり次第、受付を終了する自治体も多いため、早めに情報収集を始め、計画的に手続きを進めることが重要です。

対処法②空き家を売却する(古家付き売却)

空き家を解体せずに売却すれば、解体費用をかけずに空き家問題を解決できます。特に、家の立地が良い場合は、「古家付き土地」として買い手が見つかる可能性があります。

売却する最大のメリットは、解体費用を負担することなく家を手放せる点です。売却によってまとまった資金が得られるだけでなく、固定資産税の支払いや、建物の維持管理といった精神的・経済的な負担からも解放されるでしょう。

一方で、デメリットも理解しておく必要があります。新築用地として検討している購入希望者は、購入後に解体することを前提としているため、売却価格が更地の場合よりも安くなることがあります。また、建物の状態が悪すぎると、土地自体の印象も悪くなり、買い手が見つかりにくいケースも考えられるでしょう。

もし、すぐにでも現金化したい、あるいは買い手が見つからずに困っている場合は、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう「買取」という売却方法があります。買取の場合、相場よりも売却価格が安くなりますが、スピーディーに現金化でき、ケースによっては室内の残置物も引き取ってもらえることがあります。さらに、仲介手数料がかからないのも魅力です。

このように、それぞれにメリット・デメリットがあるため、まずは信頼できる不動産会社に査定を依頼しましょう。そのうえで、物件がどのくらいの価格で売れそうか、また買い取りの場合はいくらになるのかを提案してもらうのがおすすめです。

対処法③不動産会社に相談し、適切なアドバイスをもらう

空き家問題を解決するためには、信頼できる不動産会社に相談し、専門的なアドバイスをもらいましょう。

不動産会社を選ぶ際のポイントは、空き家の売買や解体に関する実績が豊富かどうかです。また、地域に根ざした不動産会社は、その土地の市場価値や買い手の需要を熟知しているため、的確な提案が期待できます。会社のホームページで過去の取引事例を確認したり、複数の会社に問い合わせて担当者の対応を比較したりして、安心して任せられる不動産会社を見つけましょう。

また、空き家問題に強い不動産会社は、単に物件を仲介するだけではなく、解体業者や税理士、司法書士といった各分野の専門家とネットワークを築いています。例えば、売却によって利益が出た場合の税金対策については税理士に、相続した不動産の名義変更がまだ済んでいない場合は司法書士に、というように所有者の状況に応じて最適な専門家を紹介してくれます。

このように、空き家問題に強い不動産会社に相談すれば、個別に専門家を探す手間が省けるだけでなく、専門家同士が連携して対応してくれるため、手続きがスムーズに進むでしょう。

まとめ

この記事では、家の解体費用が払えないと悩んでいる際にやってはいけない行動と、賢く問題を解決するための方法を紹介しました。解体費用が払えないからといって、空き家を放置したり、個人で解体業者を探して依頼したりしても、根本的な解決にはなりません。

しかし、補助金の活用や古家付き土地としての売却など、視点を変えれば解決の道は必ず見つかります。何から手をつければよいか分からない時こそ、まずは不動産会社などの専門家へ相談することが、解決への第一歩です。問題を一人で抱え込まず、勇気を持って行動を起こしましょう。