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この記事でわかること
相続や転居をきっかけに、空き家を所有することになったものの、 「このまま持ち続けていいのか」「売却すべきか」「そもそも売れるのか」 と悩まれている方は少なくありません。特に近年は、管理されない空き家が社会問題として取り上げられることも増え、 早めに対応を検討する必要性を感じている方も多いでしょう。
本記事では、空き家を「買取」と「売却」の両面から整理し、どんな人にどの方法が向いているのかをわかりやすく解説します。
空き家とは?なぜ問題になりやすいのか
空き家とは、現在人が住んでおらず、今後も居住予定のない住宅のことを指します。 相続後に住む予定がない一戸建てや、転居後に使われなくなったマンションなどが代表例です。
近年、日本全国で空き家の数は増加傾向にあります。少子高齢化や人口減少、都市部への人口集中などを背景に、今後もこの流れは続くと見られています。空き家問題は個人の資産管理の話にとどまらず、地域全体の安全性や資産価値にも影響を与える点が特徴です。
なぜなら空き家は人が住まなくなることで劣化が進みやすく、次のようなリスクを抱えます。
・倒壊リスク
・雑草や害虫
・近隣トラブル
・防犯面の不安
・固定資産税や管理費といった継続的な負担
こうした背景から、「いつか売ろう」と先延ばしにしている間に、 物件価値が下がってしまうケースも珍しくありません。
空き家を手放す主な方法は「売却」と「買取」

空き家を持ち続けることもリスクがあるというのを先ほどお伝えしました。では、空き家を手放すにはどのような方法があるのでしょうか。
空き家の状況によっては「賃貸として活用する」「建物を解体して土地として販売する」といった選択肢が検討されることもあります。ただし、賃貸には継続的な管理や修繕対応が必要となり、解体にはまとまった費用がかかるケースも少なくありません。そのため、多くの方が現実的な選択肢として比較するのが、「仲介売却」と「買取」です。
実際に空き家を手放す方法として、不動産会社から提案されるのも主に次の2つです。
◼︎仲介による売却
◼︎不動産会社による買取
ここでは、空き家を手放す代表的な2つの方法である「売却」と「買取」について、それぞれの特徴を整理します。違いを知ることで、自分に合った選択肢が見えてきます。
仲介による売却とは
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に入り、 市場で購入希望者を探して売却する方法です。
仲介売却の特徴
・購入希望者が見つかるまで時間がかかる
・内覧対応や価格交渉が必要になる
・物件の状態によってはリフォームや修繕が求められることもある
etc…
時間に余裕があり、できるだけ高い価格で売りたい方には向いている方法です。
空き家買取とは
一方、買取とは不動産会社が直接物件を買い取る方法です。 買主を探す必要がないため、手続きがシンプルでスピーディーなのが特徴です。
買取の特徴
・内覧対応が不要
・現状のまま売却できるケースが多い
・価格は仲介より低くなる傾向がある
etc…
「早く手放したい」「手間をかけたくない」という売主に選ばれることが多い方法です。
どちらを選ぶ?「売却」と「買取」

空き家を手放す際、多くの方が悩むのが「仲介による売却」と「不動産会社による買取」のどちらを選ぶべきかという点です。どちらにもメリット・デメリットがあり、物件の条件だけでなく、売主の状況によって向き不向きが分かれます。
そのためにも、最初から方法を一つに決めつけるのではなく、売却と買取の両方を比較しながら何を自分が優先したいのかを割り出していくことが大切です。
空き家「売却」と「買取」のメリット・デメリット比較
| 項目 | 売却(仲介) | 買取 |
|---|---|---|
| 売却方法 | 不動産会社が仲介し、購入希望者を探す | 不動産会社が直接買い取る |
| 価格 | 相場に近い価格で売れる可能性がある | 相場より低くなる傾向がある |
| 売却までの時間 | 買主が見つかるまで時間がかかる | 比較的短期間で完了しやすい |
| 確実性 | 売れるまで不確定 | 契約まで進めば確実性が高い |
| 内覧対応 | 必要(複数回になることも) | 原則不要 |
| 手間 | 価格交渉や調整が発生する | 手続きがシンプル |
| 建物の状態 | 状態次第でリフォーム等が必要 | 現状のまま対応できる場合が多い |
| 向いている人 | 時間に余裕があり、高値を狙いたい人 | 早く・手間なく手放したい人 |
| 精神的負担 | 売れるまで不安が続くことも | 判断が早くつき、負担が少ない |
売却は時間的な余裕が見込めた方にとってはメリットが高い手放し方です。一方、買取は価格面だけを見ると慎重になる方も多いですが、「時間」「手間」「精神的な負担」といった見えにくいコストを抑えられる点は大きな魅力です。特に相続後の整理や、複数の相続人が関わるケースでは、スムーズに話を進めやすいという利点があります。
こうした違いを踏まえると、「どちらが良いか」ではなく、「どの状況にどちらが合うか」を考えることが大切になります。
空き家買取が向いているケース・向いていないケース
しかしながら空き家の買取は、すべての物件・すべての売主に最適というわけではありません。ここではより詳しい形で空き家買取が向いているケース・向いていないケースをご紹介いたします。
空き家買取が向いているケース(買取向き)
次のような状況に当てはまる場合、現実的で負担の少ない選択肢となることが多いです。
・遠方にあり、管理や定期的な訪問が難しい
・早めに整理して、相続人間の話し合いを進めたい
・内覧対応や価格交渉に時間や労力をかけられない
・建物の老朽化が進んでいる
価格だけでなく、「手間や時間を減らす」という視点を重視する方にとって、買取は有効な選択肢と言えるでしょう。
空き家買取が向いていないケース(売却向き)
反対に、次のような場合は仲介による売却の方が適している可能性もあります。このような場合は買取ではなく、売却をおすすめします。
・築年数が浅く、需要が高いエリアにある
・内覧対応や調整を負担に感じない
「時間」に融通が効く場合には、時間をかけて高く手放すという方法を選ぶことも可能です。このように、物件の条件と売主の事情によって、最適な方法は変わります。
空き家買取の相談は「いつするべき?」

ここまでで、空き家の買取・売却それぞれの特徴や向き不向きを整理してきました。では実際に、どのタイミングで相談するのがよいのでしょうか。実際のところ、空き家の相談について、「まだ売ると決めていないから」「もう少し様子を見てから」と、先延ばしにされる方も少なくありません。しかし、相談すること自体は、買取・売却を決断することと同義ではありません。
・今売った場合の買取価格
・仲介で売却した場合の可能性
・維持し続けた場合の負担
といった情報を把握することで、初めて冷静な判断ができるようになります。
「判断材料を集めるために査定を受ける」という段階で相談することが、後悔しない選択につながりやすいと言えるでしょう。
空き家買取の査定では何を見られる?
実際に買取を検討する際、多くの方が気になるのが「査定では何を見られるのか」という点です。ここでは、空き家買取の査定でチェックされる主なポイントを紹介します。
買取価格を決める査定では、次のような点が確認されます。
・エリア特性
・土地や建物の条件
・建物の老朽化状況
・再販売や活用の可能性
・周辺の相場
築年数が古い場合でも、土地としての価値やエリア特性によって、買取が成立するケースは少なくありません。特に駅からの距離や周辺環境、用途地域などは、建物の状態以上に重視されることもあります。そのため「建物が古いから無理だろう」と判断してしまう前に、専門的な査定を受けることが重要です。
リフォームや解体は必要?
空き家を売却する際、「何か手を加えないと売れないのではないか」と感じる方は多いものです。しかし、空き家買取では売主が必ずしも事前対応を行う必要はありません。むしろ、費用をかけたリフォームや解体が、必ずしも買取価格に反映されるとは限らない点には注意が必要です。
買取の場合、不動産会社側でリフォームや解体を行う前提で査定することもありますので、自己判断で費用をかける前に、まずは査定を受けて確認をしてみることも大切です。
空き家買取を検討する際の不動産会社選び
空き家の相談では、「まず何から始めればいいかわからない」という声が多く聞かれます。そのため、不動産会社が単に買取価格を提示するだけでなく、状況整理から一緒に行ってくれるかどうかは重要な判断基準になります。
空き家の買取は、通常のマンション売却や土地売却と比べて、判断材料が多くなりがちです。そのため、単に価格だけで判断するのではなく、相談時の対応や説明のわかりやすさも重要な比較ポイントになります。
まとめ|空き家は「知った上で判断する」ことが大切

空き家の問題は、時間が経てば自然に解決するものではありません。放置する期間が長くなるほど、建物の老朽化が進み、エリアの相場や周辺環境も変化していきます。その結果、いざ手放そうとしたときに、選択肢が限られてしまうケースも少なくありません。
だからこそ重要なのは、早い段階で正しい情報を集め、自分の状況に合った選択肢を知っておくことです。
空き家の買取は、「できるだけ早く」「手間をかけずに」整理したい方にとって、有効な方法の一つです。一方で、仲介による売却とは価格や進め方に違いがあり、十分に理解しないまま進めてしまうと、後から後悔につながる可能性もあります。
まずは空き家の現状を整理し、査定を通じて
・買取の場合はどの程度の条件になるのか
・売却という選択肢は取れるのか
といった判断材料を把握することが、納得のいく決断への第一歩となります。
空き家の買取は、決して特別な事情を抱えた方だけの方法ではありません。相続、住み替え、管理負担など、さまざまな背景を持つ中で、現実的な選択肢として検討される場面は年々増えています。
大切なのは、「売るか・売らないか」を急いで決めることではなく、知った上で判断できる状態をつくることです。情報を整理し、専門的な視点を交えながら検討することで、後悔のない選択につながりやすくなるでしょう。