投資用マンションが売却できずに困っている。売れない理由やとれる対策があれば知りたい。今回はそのような方に向けて、投資用マンションが売れない場合に考えられる理由や売るための対策について解説します。投資用マンションの売却に苦戦している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
投資用マンションが売却できない理由8選
まず、今回のテーマである投資用マンションが売却できない理由について解説します。
物件が思っていたより売れない状態が続く場合、その理由を明確にして必要な対策をすることは、不動産を売却するために大切なポイントです。
ここでは、投資用マンションにおいて売れない場合に考えられる理由を8つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
空室である
中古の投資用不動産を売却する場合、入居者がいない空室の物件は、買い手からの印象が基本的に悪くなります。物件を購入してもすぐには家賃収入が生まれず、尚且つ客付けの必要があるため、購入後の負担が大きいからです。
また、マンション全体の入居率が良い場合はそこまでネガティブ要素にならないかも知れませんが、全体を通して空室が目立つ物件だとイメージはさらに悪くなります。空室の場合、部屋の中をチェックできるなど、少ないながらメリットもありますが、基本的には入居者がいて稼働している物件の方が投資家からの印象は良いです。
管理状況が悪い
清掃や修繕がされていないなど、管理状況が悪い物件は見た目の印象が悪く売れない理由につながります。共用部の管理会社を変更するためには、マンション管理組合の総会で議決を取る必要があるため、改善が難しい場合も少なくありません。管理がずさんなマンションは入居者が定着せず、退去の発生が多く、入居付けに苦戦する傾向があるため、売却時に悪い影響を与えるケースは多いです。
相場よりも高い
相場より高く売りに出している場合は、他の物件が優先されるため買い手から選ばれにくく売却に苦戦するケースが多いです。周辺で売りに出ている同じスペックのマンションと比較して、割高である場合には、価格が理由で売れない可能性があります。相場より割高で売り出していても他にない強みがある物件であれば、そのまま売れる場合もありますが、ほとんど同じ条件であれば、価格勝負で負けてしまうケースが多いです。
融資環境が悪い
投資用不動産を購入する際に銀行から借り入れるローンは事業用融資に当たり、融資環境が悪いと投資物件全体の流動性が下がり売れにくくなります。投資用マンションを購入する人のほとんどが銀行融資を利用するため、融資環境が悪くなるとローンを借りにくくなり、購入できる母数が減ってしまうからです。
同じ不動産向けローンでも住宅ローンであれば景気に左右されにくいですが、投資用ローンは景気によって融資を受けるためのハードルが大きく変化します。投資用マンションを売却する場合には、自分でも銀行にヒアリングして現状の融資環境はどうなのか、融資に積極的な銀行はどこか調査することが大切です。
周辺に売却物件が多い
同じタイミングで売りに出されている物件が周辺に多いと、競合になるため売れない原因につながります。投資用マンションの供給量が多いエリアであれば、同じような規格の物件が多数売り出されているケースは少なくありません。物件を売却する場合には、売り出す前に周辺に競合となりうる物件がどれくらいあるのか、チェックした上で戦略を考えることが大切です。
残債以上の金額で売却が難しい
投資用マンションを購入した時のローンがまだ残っている場合には残債以上で売却する必要があるため、それが理由で売却に苦戦するケースもあります。無借金、またはローンの残債が少ない場合には多少低い価格で売却してしまっても問題ありませんが、ローンがまだほとんど返せていない場合には注意が必要です。特に新築で購入した投資用マンションを短い期間で売却する場合、残債以上の金額で売れず苦労するケースは多いです。
また、ローンの返済が滞っている場合には、任意売却の選択肢もありますが、ローンの残債が残ってしまう可能性が高いため注意が必要です。
サブリース契約を結んでいる
サブリース契約とは、サブリース会社が投資家から物件を一括で借り上げる管理契約のことです。サブリース会社は投資家に借り上げた分の保証賃料を支払い、さらに高い賃料で他の第三者に賃貸することで収益を得ています。サブリース契約は、物件の稼働率に関わらず安定した賃料を得られる一方、実質賃料で貸し出す場合よりも利回りが低くなるのが一般的です。
よって、投資家の中にはサブリース契約に対して悪い印象をもっている人も多く、サブリース契約が理由で売却に苦戦するケースもあります。
販売方法に問題がある
売却を依頼している不動産会社の販売方法に問題があることで売れないケースもあります。投資用マンションだけでなく投資用不動産は売り方が一般的な実需物件とは異なるため、適切な販売戦略を立てることがとても重要です。投資物件の実績豊富な不動産会社であれば、適切な方法で売却活動ができますが、実績がほとんどない会社だと売却に苦戦する原因になります。
不動産の売却は、売却を依頼する不動産会社選びがとても重要なポイントなので、投資用マンションであれば投資用マンションの実績豊富な会社に依頼することが大切です。
投資用マンションが売却できない場合の対策
ここでは、投資用マンションが売れない場合にとれる対策について解説します。
売却できない期間が続いている場合、ただ待っていても買い手が見つかる可能性は低いです。売却できない理由を明確にして対策することで物件の印象は変わるので、以下の内容を参考に自分の物件で取れる対策を考えてみてください。
空室を埋める
売却する投資用マンションに入居者がいない場合は、空室を埋めた方が買い手からの印象がよく売れやすくなります。管理会社に依頼してもなかなか客付けができない場合には、自分で賃貸の仲介会社を回って物件紹介をするのも効果的です。ローンの返済が残っている場合には、空室を埋めて家賃収入が生まれることで返済の負担が軽減され売却活動に余裕ができるメリットもあります。
家賃設定が相場よりも高い場合には家賃の見直しも検討しつつ、空室を埋めて家賃収入が入ってくる状態を目指しましょう。
管理方法を見直してもらう
物件の管理状態が悪いことで売却活動に影響が出ている場合には、管理会社に連絡をとって適切な管理を求めることで改善できる可能性があります。管理戸数が多い不動産会社の場合、人手が足りていないことで管理業務が回っておらず、管理が不十分になっているケースは少なくありません。管理手数料を払っている以上、適切な管理を求めることは当然の権利なので、遠慮なく改善を求めましょう。
クレームを入れても改善が見られない場合には、マンションの管理組合に相談し、管理会社を変えることも検討する必要があります。
管理契約を見直す
サブリース契約が理由で売れにくくなっている場合には、サブリースを解約して一般管理に変更した上で売却するのも1つの対策です。立地がよく入居付けのハードルが低いエリアであれば、退去のリスクを考慮しても一般管理に変更した方が収益アップにつながる可能性があります。投資家によってはサブリースの物件というだけで敬遠されるケースもあるため、一般管理にして入居が埋まっている状態であれば、印象アップになる可能性が高いです。
サブリースは解約できるタイミングが契約内容によって異なるため、まずはサブリース契約書の内容を確認して解約できるタイミングをチェックします。契約書の内容がよく分からない場合にはサブリース契約を結んでいる管理会社に問い合わせて確認してみましょう。
不動産会社を見直す
売却を依頼している不動産会社の販売戦略が理由で売れない場合には、他の不動産会社に切り替えることで売却できる可能性があります。
投資用マンションを販売する場合、掲載している広告の内容や各種メディアへの露出度が反響を得るために重要なポイントです。広告の内容が魅力的でない、メディア戦略が弱い場合には、売却を依頼する不動産会社に相談し、改善を求める必要があります。改善が見られない場合には、他の不動産会社に相談して売却の依頼先を見直す必要があるでしょう。
先述したように投資物件は実需物件と販売方法が異なるので、投資用マンションの売却に強い不動産会社に依頼することが大切です。
不動産買取を検討してみる
一般的な個人投資家ではなく、不動産会社に買取を依頼することも売れない場合の選択肢の1つです。
売却を急ぎたい場合に有効な手段であり、投資家への売却よりも低い価格になる可能性は高いですが、すぐに売って現金化することが可能です。不動産買取であれば個人投資家と異なりローン特約による解約や売却後に買主とトラブルになるリスクが少ないメリットもあります。ローンの残債がない、または少ない場合など、多少安くなっても早く売りたい場合には、一度査定だけでも依頼してみるのがおすすめです。
また、買取業者によって査定額が大きく異なるケースがあるため、必ず複数業者に査定依頼することをおすすめします。
価格を見直す
ローンの残債を考慮して販売価格に余裕がある場合には、価格を見直すことで売却できる可能性は高くなります。物件価格を下げることで投資物件を購入する際の大きな指標となる表面利回りが高くなるため、投資家からの印象がアップするからです。周辺で売りに出されている物件と比べて差別化できる要素があれば、価格を見直す必要はありませんが、そうでない場合には価格を下げるしか対策の余地がない場合もあります。
特に販売している価格が相場より明らかに高い場合、売却を急ぐのであれば一度、価格の見直しも検討してみましょう。
海外投資家をターゲットにする
日本人の投資家向けに販売活動をして反応が薄い場合には、海外投資家をターゲットにするのも有効な対策です。日本人投資家の場合、物件周辺の相場だけを見て購入を判断しますが、海外投資家は海外の不動産も比較対象となるため、周辺相場より高くても売れるケースがあります。
現在、日本の不動産は海外と比べて割安と言われているため、物件によっては海外の投資家向けに販売した方が高く早く売れる可能性が高いです。立地が良い物件は特に海外投資家から人気があり、円安の影響もあって都市部の好立地物件を海外投資家が購入するケースは増えています。
また、海外投資家は現金一括で購入するケースが多いため、ローンの影響を受けない点もメリットです。海外投資家の販売を専門に営業している不動産会社もあるので、興味がある場合は一度、相談してみることをおすすめします。
売却時期をずらす
不動産投資の市況が良くない場合など、売却時期が悪い場合には、無理に売りに出さず時期をずらすのも1つの選択肢です。
投資用マンションは、特に景気や融資環境に影響されやすい傾向があるため、売却時期が悪いと高値で売却できる可能性は高くありません。好立地の物件であるほど、売却時期をずらして景気が回復したタイミングで売却した方が、高く売れる可能性は高いです。また、市況以外の要素で売却時期をずらした方がよいケースもあります。例えば、売却するマンションの大規修繕が間近である場合や近隣で開発行為が進んでいる場合には、売却時期をずらすことでバリューアップを狙うことが可能です。ローン返済の負担が重い、すぐに現金が必要など、特別な理由がある場合を除いて、売却期間に余裕がある場合には、時期を将来にずらすことも検討してみましょう。
まとめ
今回は投資用マンションが売れない場合に考えられる理由や売るための対策について解説しました。売れない期間が続くと不安を感じてしまうものですが、理由の明確化と必要な対策をすれば改善される可能性は大いにあります。
売れない理由によって取るべき対策は異なるので、投資用マンションの売却に苦戦している人は、ぜひ今回の内容を参考に売却活動に活かしてください。