「資産価値が下がるのは避けたいけど、どんな物件を選べばいいかわからない」
マンションの購入を検討している方の中には、このような悩みを抱えている方も多いでしょう。資産価値を重視したマンションを選ぶためには「売るつもりで買う」という視点が必要です。
今回は、資産価値を維持する立地・物件の選び方や、高く売るための戦略を紹介します。購入したマンションをなるべく高く売りたい方は、最後まで読んで参考にしてください。
目次
はじめに:マンションは「売るつもりで買う」意識を
マンションは、将来を見据えて購入するのが重要です。
つまり、繰り返しになりますがマンションは「売るつもりで買う」ことを意識しましょう。
人生には転勤や転職、家族構成の変化や老後の住み替えなど、ライフスタイルの変化が度々訪れます。そのため、売却を前提にして物件を選べば、こうした変化にも柔軟に対応できるようになります。
例えば、賃貸住宅に住むと家賃として支払った費用は戻ってきませんが、資産価値の高いマンションを購入すれば、住み替え時に売却資金を次の住居費用に充てられるでしょう。さらに、購入したマンションを老後に貸し出し、資産運用として活用することも可能です。
では実際にはどのようなマンションを選べば良いのか。ここからは、将来を見据えたマンション選びで後悔しないための【3つの視点】を紹介します。
【将来を見据えたマンション選びで後悔しないための3つの視点】
視点(1) 「買って後悔しない」ためのマンション選びのコツ
視点(2) 「住み替えまで見据えた」売却戦略
視点(3) ライフステージごとに変わるマンション選びの基準
視点(1) 「買って後悔しない」ためのマンション選びのコツ
マンションを売るつもりで買う場合、「立地」と「物件」の両面を重視して選ぶ必要があります。
ここでは、後悔しないための物件選びについて解説します。
資産価値を左右する「立地」のチェックポイント
まずは、将来を見据えてマンションを選ぶ際の「立地」について見ていきましょう。
最寄り駅からの距離と駅の利便性
マンションの資産価値を決める大事な要素として、最寄り駅からの距離が挙げられます。マンションは、駅からの距離が近いほど資産価値が下がりにくい傾向にあります。例えば、築年数や間取りが近いマンションの場合、駅から徒歩20分の物件と徒歩5分の物件を比較すると、後者が好条件で売れやすいでしょう。
さらに「複数路線が利用できる」「ターミナル駅へのアクセスが良い」など、駅の利便性も資産価値を左右するポイントです。将来的に資産価値が下がりにくいマンションを選ぶ際は、交通利便性の高い物件を選びましょう。
周辺環境(スーパー、学校、病院)の充実度
周辺環境の充実度も資産価値の下がりにくさに直結します。スーパーやコンビニが徒歩圏内にあれば毎日の買い物が便利になり、病院が近くにあれば安心感につながり、子育て世代からの需要が期待できるでしょう。
このように、周辺が充実している立地は幅広い世代から支持されるため、売却時に購入希望者が見つかりやすくなります。
将来性のある再開発計画の有無
将来性のある再開発計画の有無も、資産価値を左右するポイントです。新駅の設置や商業施設の誘致などは、交通アクセスの改善や利便性の向上につながり、資産価値を押し上げる要因となります。
また、区画整理や道路拡幅などのインフラ整備も、街の魅力度が増し売却時に有利に働くでしょう。
再開発計画の情報は、自治体のホームページや都市計画図で確認できる他、不動産会社からも情報収集が可能です。将来性のあるエリアを見極めて、長期的に資産価値が維持される物件を選びましょう。
住みやすさを決める「物件」の選び方
次に、間取りや管理体制、耐震性など「物件」そのものの選び方を解説します。
専有面積と間取りの将来性
売却に有利な物件を選ぶ際は、専有面積と間取りにも注目してください。例えば、50㎡以上の物件は住宅ローン控除の対象となり、幅広い購入者層にアピールできます。
間取りでは、ライフスタイルの変化に対応しやすい2LDK~3LDKが人気です。バルコニーの向きは、日当たりの良い南向きが理想ですが、東向きや西向きでも角部屋であれば明るさを確保できます。
管理体制と修繕計画の健全性
マンションの資産価値は、管理体制と修繕計画の健全性にも左右されます。管理が行き届いていないマンションは資産価値が下落しやすく、突発的な修繕費に悩まされる恐れがあります。また、管理組合の修繕計画が甘いと将来の修繕の見通しが立たず、安心して住み続けることが難しくなるでしょう。
マンションの購入時は、管理会社から発行される「重要事項調査報告書」に記載されている管理費や修繕積立金の滞納状況や、計画的に修繕がなされているかを確認すると安心です。さらに、管理組合の理事会が定期的に開催され、適切に組合が運営されているかも重要な判断材料となります。
耐震性や建物の構造をどう見極めるか
建物の耐震性と構造も、マンションを見極める判断基準です。耐震性を測る基準には、1981年6月以降に建築確認を受けた「新耐震基準」とそれ以前の「旧耐震基準」に分かれます。新耐震基準のマンションのほうが高い耐震性で設計されているため、資産価値が維持されやすい新耐震基準で建てられた物件を選びましょう。
構造については、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が耐震性に優れており、免震構造や制振構造を採用しているマンションであれば、地震に対する安全性がさらに高まります。
視点(2) 「住み替えまで見据えた」売却戦略
マンションを好条件で売却するためには、早い段階からの準備と高く売るための戦略が必要です。ここでは、住み替えまで見据えた売却術を紹介します。
早期から始める「売却の準備」
早い段階から売却の準備を進めることで、高くマンションを売却できます。具体的にどのような準備をすれば良いのかを解説します。
購入時の情報を整理しておく重要性
マンションを高く売却するためには、購入時の情報を整理しておきましょう。購入時の情報を把握しておけば、売却時に購入希望者への説明資料として活用できます。
購入時の情報は、次の書類で確認できます。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 管理規約
- 長期修繕計画書
- 諸費用の明細
さらに、購入の決め手となったポイントや周辺環境の魅力などを記録しておくのがおすすめです。
例えば、駅から実際に歩いてかかる時間や、近隣の商業施設の営業時間、子育て環境の良さなどは、将来の内覧時に具体的なアピール材料として活用できます。
定期的なメンテナンスで資産価値を維持する
建物や設備は経年と共に劣化していくため、定期的なメンテナンスでマンションの資産価値を維持すれば、将来的に好条件で売却することができます。特に、キッチンや浴室、洗面所などの水回りは購入希望者が注目する場所であるため、重点的にメンテナンスしましょう。
また、壁紙の汚れや傷、フローリングの擦り傷なども早めに補修しておけば、内覧時の印象が格段に向上します。
さらに、これらのメンテナンス履歴を記録しておけば、購入希望者に対して物件が丁寧に管理されていることをアピールできるのでおすすめです。
高く売るための「戦略的売却」
マンションを高く売るためには戦略を練ることも重要です。どのように売れば良いのかを見てみましょう。
適切な売却時期を見極めるタイミング
マンションの売却では、タイミングによって売却価格が大きく変わることもあるため、売却時期を慎重に見極めなければなりません。
一般的に、多くの人が新生活を始める3月は中古マンションの取引が最も活発になる時期で、売却価格が高くなりやすくなります。また、不動産市場全体の動向として、住宅ローン金利が下がったり新築マンションの価格が上昇したりすると、中古マンションの価格が上昇する傾向にあります。
売却のタイミングを逃さないためにも、不動産市況全体を把握しながら最も良い時期に売り出しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼するメリット
マンション売却では、複数の不動産会社に査定を依頼すれば、より良い条件での売却が期待できます。1社だけの査定では提示された価格が適正かどうかを判断できないため、複数の不動産会社から査定を受けて、おおよその相場を把握するのがおすすめです。また、複数の不動産会社に査定を依頼すれば、各不動産会社の得意分野や特徴を活かすことができます。
例えば、大手不動産会社は広範囲にわたるネットワークがあり、地元密着型の不動産会社は地域の細かい情報を持っています。査定額の根拠や販売計画を聞き、担当者の対応や知識レベルを見極めれば、信頼できる不動産会社が選べるでしょう
内覧での印象を良くするコツ
購入希望者の購入意欲を高め、好条件でマンションを売却するためには、内覧で家の印象を良くしましょう。内覧での印象を良くするコツは主に以下のとおりです。
- 室内の清掃を徹底する
- ニオイ対策をおこなう
- 部屋全体を明るく見せる
- 売主ならではの視点を伝える
室内の清掃は、特に玄関やリビング、水回りなどを念入りにおこないましょう。
ペットやタバコのニオイは自分では気づきにくいため、内覧前の換気や消臭剤を活用してください。また、内覧当日は全ての照明をつけ、カーテンを開けて部屋全体を明るく見せることで、開放的な印象を与えられます。
さらに、近くにあるスーパーの品揃えや病院の評判、夜道の明るさといった売主ならではの視点を伝えるのも効果的です。
視点(3) ライフステージごとに変わるマンション選びの基準
ライフステージに応じてマンションの選び方は変わります。
ここでは、ライフステージに合わせてどのようにマンションを選べばいいのかを解説します。
シングル・ディンクス向け:コンパクトながら将来性のある物件
ディンクスとは共働きで子どもを持たない夫婦や、そのライフスタイルのことです。シングルやディンクスの方には、コンパクトながらも将来性のあるマンションがおすすめです。
では、コンパクトながらも将来性のあるマンションとは、どのような物件を指すのでしょうか。もう少し解説していきます。
職住近接を重視するエリア選び
シングルやディンクスの方は、「職住近接を重視するエリア選び」がおすすめです。
職住近接とは、職場と自宅の距離が近い状態のことで、例えばオフィス街やターミナル駅へ乗り換えなしで30分以内に着く駅の周辺に住めば、通勤の負担が軽減されます。さらに、マンションの周辺に商業施設や飲食店があると日常の利便性が高くなり、プライベートも充実するでしょう。
職住近接のエリアにあるマンションは、シングルやディンクスの方に人気があるため、生活満足度の向上に加えて、資産価値の維持にもつながります。
ファミリー向け:教育環境と広さが鍵
ファミリー向けのマンションを選ぶ際は、教育環境と広さを重視しましょう。子どもがいる世帯は、子どもの成長や家族全員が快適に生活できる環境を求めています。例えば、通学の安全性や塾や習い事の充実度、子どもの成長による個室の必要性などを重視しています。
そのため、教育環境と広さを兼ね備えた物件であれば、ファミリー層に好条件で売却できる可能性が高まるでしょう。
子どもの成長に合わせた間取りの選び方
ファミリー層に向けてマンションを高く売るためには、子どもの成長に合わせた間取りを選ぶことが大切です。子どもが幼い時期は親の目が届くリビングに隣接した和室が便利ですが、小学校高学年以降はそれぞれの個室が必要となります。
ファミリー層に人気の3LDKの間取りであれば、リビングに隣接した和室を幼い子どもを遊ばせておくスペースとして活用でき、将来的には個室を与えることも可能です。また、キッチンから学習スペースが見渡せるLDKは家事と教育の両立ができ、生活動線を効率化することもできます。
セカンドライフ向け:バリアフリーと利便性を両立
セカンドライフを過ごすためにマンションを購入する場合は、バリアフリーと利便性が両立された物件を選びましょう。セカンドライフとは、主に定年退職した後の「第二の人生」を指す言葉です。年齢を重ねると、若い頃には気にならなかったわずかな段差でもつまずき、転倒するリスクが高まります。
そのため、セカンドライフには段差がなく手すりが設置されているといったバリアフリー設計の物件がおすすめです。
駅から近く、生活施設の整った立地
セカンドライフを送る方にとって利便性が高い立地の条件は、駅から近く、生活施設が整っていることです。加齢による体力の低下や車の運転が困難になることを考慮すると、駅徒歩10分以内の立地で、スーパーや病院などの生活施設が充実したエリアがおすすめです。
さらに、図書館や公園などの公共施設が充実していれば、趣味や交流の場として利用しやすくなり、老後に豊かな生活が送れます。
このような立地にあるマンションはセカンドライフを送る方の需要が高いため、好条件で売却を進めることができるでしょう。
まとめ:「売るつもりで買うこと」を意識しよう
この記事では、「売るつもりで買う」をテーマに、将来を見据えたマンションの選び方と売却術を紹介しました。
重要なのは、購入時も売却時も「買いたい人」の視点で資産価値を考えることです。
マンション売却では、立地や管理状態、ライフステージ別のポイントなど、専門的な知識が求められます。信頼できる不動産会社など専門家の意見を賢く取り入れながら、後悔のないマンション選びを実現しましょう。