「普通の不動産投資の利回りでは物足りない」「持っている空き家をなんとか収益化できないか」と考えている方には、民泊投資がおすすめです。インバウンド需要が回復する今、民泊投資は正しい知識と戦略があれば、利回り30%も狙える魅力的な投資方法です。
この記事では、民泊投資の基礎知識や高収益を上げるための具体的な戦略、そして失敗を避けるためのリスク対策を具体的に紹介します。民泊投資で成功するための第一歩を踏み出したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
民泊投資の基礎知識
民泊投資を始める前に、まずは基本的な知識を整理しましょう。ここでは、民泊の定義や関係する法律、民泊の種類について解説します。
民泊とは
民泊とは「自宅や空き家、マンションの空室などを活用して、旅行者などに有料で宿泊サービスを提供すること」です。通常の賃貸経営が月単位の長期契約であるのに対し、民泊投資は1泊単位で貸し出す点が大きな違いです。
民泊のビジネスモデルは、2018年に施行された「住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)」によって法的なルールが定められました。民泊新法では、宿泊させる日数が年間180日以内であることや、台所、浴室といった生活に必要な設備が備わっている「住宅」で事業を行うことなどが定められています。
元々、宿泊サービスは旅館業法のもとで厳しく規制されていましたが、民泊新法が登場したことにより、個人でも参入しやすくなりました。このように、民泊は空き家などの遊休資産を収益化できる新しい投資として注目されています。
民泊の種類
民泊の運営には、大きく以下の3つの法律にもとづく方法があり、どの法律を選ぶかによって、営業できる日数やエリア、必要な手続きが異なります。
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)
- 特区民泊
- 旅館業法
住宅宿泊事業法(民泊新法)
最も手軽に始められるのが民泊新法で、都道府県などへの届出で営業できますが、年間営業日数が180日以内に制限される点に注意が必要です。
特区民泊
次に、特定の地域(国家戦略特区)でのみ営業可能なのが特区民泊です。特区民泊では、自治体の認定を受ければ年間を通して営業できます。
旅館業法
最後に、ホテルや旅館と同じ旅館業法の許可を得て「簡易宿所」として運営する方法があります。厳しい基準をクリアする必要がありますが、営業日数の制限がなく、不在時に管理業者へ委託する義務もありません。
運用する物件や事業戦略に合った方法を選ぶことが、民泊運営の成功を左右するポイントとなるでしょう。
なぜ今、民泊投資なのか?
数ある投資先の中から、今あえて民泊投資を選ぶべき理由は何でしょうか。ここでは、3つのポイントに注目しながら、民泊投資が注目される理由を紹介します。
高い収益性
民泊投資の最大の魅力は、一般的な不動産投資を上回る高い収益性です。通常の賃貸物件は一度家賃を決めると変更が難しい一方で、民泊は時期や需要に応じて1泊単位で価格を変動させられます。
例えば、賃貸経営で月10万円の家賃が見込まれる空き家を、1泊1万円で民泊として貸し出せば、単純計算で月30万円、つまり賃貸経営の3倍の売上が見込めます。さらに、年末年始や紅葉シーズンなどの繁忙期に宿泊料金を上げれば、より多くの収益を確保できるでしょう。
このように、民泊は日割りで収益を得られるため、稼働率を高めることで賃貸経営の数倍の利回りを達成することも夢ではありません。事実、利回り30%を超える実績を上げている投資家も存在します。
インバウンド需要の回復
民泊投資にとって強力な追い風となっているのが、インバウンド需要の急速な回復です。新型コロナウイルス感染症の5類移行後、訪日外国人観光客数は劇的に増加しています。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2021年のコロナ禍では日本への旅行者数が年間25万円でしたが、2024年は3,687万人と急速に回復しました。特に2024年3月には単月で初めて300万人を突破するなど、その勢いは加速しています。
参考:国土交通省観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」
インバウンド需要の回復には歴史的な円安も背景にあり、外国人観光客にとって日本の宿泊費が割安に感じられ、ホテルだけでなく「暮らすように旅ができる」民泊への需要が高まっているのです。
不動産価値の向上
民泊運営で高い収益を上げることは、不動産そのものの価値向上にもつながります。不動産の価値を決める指標の1つに、その物件が生み出す収益の金額が用いられることがあります。つまり、同じ物件でも通常の賃貸として貸し出すより、民泊として運営して高い収益実績を上げれば、その物件は「儲かる物件」として市場から高く評価されるのです。
実際に、安定した稼働実績がある民泊物件は、次にその物件を購入して民泊を運営したいと考える投資家にとって非常に魅力的です。結果的に、将来的に物件を売却する際、購入時よりも高い価格で取引できることも考えられます。
このように、民泊投資は日々の宿泊料(インカムゲイン)だけでなく、物件の売却益(キャピタルゲイン)も期待できる投資方法といえます。
利回り30%を実現するための戦略とポイント
民泊投資の戦略によっては、利回り30%という高い目標を達成することもできます。ここでは、利回り30%を目指すための3つのポイントについて解説します。
物件選びの鉄則
利回り30%を目指す上で最も重要なのは、高収益が見込める物件を選ぶことです。特に、物件の立地が鍵を握ります。インバウンド観光客と国内旅行者の両方を取り込むためには、主要なターミナル駅や空港から30分圏内など、交通アクセスの良さが絶対条件です。
例えば、山手線や大阪環状線沿線の駅から徒歩10分以内の物件は、高い稼働率を維持しやすい傾向にあります。また、周辺にスーパーやコンビニなどの買い物施設があれば、利便性が向上して稼働率が高まるでしょう。
物件そのものの魅力も重要な要素です。大人数で宿泊できる一戸建てや、日本の歴史が感じられる古民家は、マンションタイプとの差別化を図れるため、宿泊単価を高めることができます。このように、ターゲットとする客層を明確にし、そのニーズに応える立地と物件を選ぶことが、利回り30%への第一歩です。
運営代行会社の活用
副業として民泊投資を行う場合や、より高い収益性を追求するのであれば、専門の運営代行会社の活用を検討してみましょう。
民泊運営には、予約管理や24時間体制でのゲスト対応、清掃手配や収益管理など、多岐にわたる業務が発生します。これらの業務をを専門家に任せることで、オーナーの時間と労力を大幅に削減できるでしょう。さらに、代行会社は需要予測に基づいた価格設定や、予約サイトでの露出を増やすノウハウを持っています。
ただし、運営代行に依頼すると売上の10%~30%程度の委託費用が発生することが一般的です。また、代行会社に運営を依頼すると、オーナー自身がゲストと交流できないというデメリットもあります。これらのメリット・デメリットを見極めた上で、目的に合わせて運営代行会社の利用を検討してみてください。
コスト管理の重要性
高い売上を達成しても支出が多ければ利益が圧迫されます。そのため、利回り30%の達成には徹底したコスト管理が必要です。民泊運営には「初期費用」と「ランニングコスト」の2つのコストがかかります。
【初期費用】
費用項目 | 費用目安 |
---|---|
物件の賃貸費用 | 50万円〜150万円 |
内装・リフォーム代 | 100万円〜1,000万円 |
家具・家電購入費 | 50万円〜200万円 |
消防設備設置費 | 5万円~20万円 |
許可申請・届出費用 | 1万円~3万円 |
その他備品・消耗品費 | 2万円~5万円 |
【ランニングコスト】
費用項目 | 費用目安 |
---|---|
家賃 | 5万円~30万円 |
水道光熱費・通信費 | 2万円〜5万円 |
清掃費・リネンサプライ費 | 3万円〜10万円 |
消耗品補充費 | 1万円〜3万円 |
運営代行手数料 | 宿泊料の10%〜30%程度 |
広告宣伝費 | 1万円〜5万円 |
修繕費 | 数千円~数十万円 |
※コストは物件やエリアによって異なるため、目安として活用してください。
なるべくコストを抑えるためには、複数の業者から見積もりを取り、コストパフォーマンスを重視しましょう。また、シャンプーやトイレットペーパーなどの消耗品は、業務用をまとめて購入すると単価を抑えられます。さらに、省エネ家電や効率的な清掃システムの導入も、ランニングコストを抑えるコツです。
売上だけでなくコストにも常に目を光らせ、無駄を徹底的に省くことで、利回り30%が見えてくるでしょう。
民泊投資のリスクと対策
高い収益性が期待できる民泊投資ですが、成功するためにはリスクを正しく理解し、事前に対策を講じましょう。ここでは、特に注意するべきリスクと、それぞれの具体的な対策について解説します。
法規制の変更
民泊投資におけるリスクの1つが、法規制の変更です。民泊事業は民泊新法や旅館業法、そして各自治体の条例によってルールが定められていますが、これらの規制は社会情勢に応じて変わる可能性があります。
例えば、2025年4月に施行された建築基準法改正では、違法利用の確認や立ち入り検査の頻度拡大、罰金・営業停止命令など、違法民泊に対する罰則が強化されました。一方で、小規模物件(延べ床面積200㎡以下)の用途変更手続きが簡素化され、スムーズに民泊を始められるようにもなりました。
このような法改正や条例の変更に対応できなければ、営業停止に追い込まれる恐れもあるため、常に観光庁や自治体の公式サイトで最新情報を確認し、専門家のアドバイスを仰ぐことが重要です。
競合の増加
競合が増加していることも民泊投資のリスクです。民泊市場はインバウンド需要の回復とともに拡大していますが、それに伴い競合の増加による価格競争も激化しています。周辺に類似した物件が増えると、宿泊料金を値下げせざるを得なくなり、収益性が低下するリスクがあります。
競合との競争を勝ち抜くためには、料金の安さだけでなく、独自の価値を提供し、他の施設との差別化を図る戦略を取りましょう。例えば、「和モダンのコンセプトで内装を統一する」「農業体験などの体験型民泊を提供する」「高品質なアメニティや調理器具を揃える」など、宿泊者がここに泊まりたいと感じる付加価値を創出することが求められます。
こうした独自の強みを持つことで、安定した稼働率と高い収益性が期待できるでしょう。
災害・パンデミックリスク
民泊事業は、地震や台風といった自然災害、新型コロナウイルスのようなパンデミックの影響を直接的に受けやすいというリスクを抱えています。これらの災害・パンデミックが発生すると、旅行需要そのものが急激に減少し、予約のキャンセルが相次ぎ、収益がゼロになる恐れもあります。
予測できない災害・パンデミックリスクに備えるためには、リスク分散が重要です。対策として、1泊単位の「民泊」から、月単位で貸し出す「マンスリーマンション」や、中長期滞在の「ワーケーション施設」へとすぐに切り替えられる準備をしておくことが挙げられます。これにより、インバウンド需要が下がっても、国内需要をターゲットにできます。
また、物件を1つのエリアに集中させず、異なる都市や地方に分散させることも有効です。エリアを分散させれば、ある地域が被災した場合でも、他のエリアの物件で収益を維持できるため、全体のリスクを軽減できます。
このように、1つの事業や物件に依存せず、複数の収益源を確保することを心がけましょう。
近隣トラブル
民泊運営では、近隣トラブルのリスクも潜んでいます。特に問題となりやすいのが、旅行者の深夜の騒音や、ゴミ出しのルール違反です。文化や習慣の異なる外国人観光客が、悪気なくマナー違反をしてしまうケースは少なくありません。
近隣トラブルを防ぐための対策として、宿泊予約時に騒音やパーティーの禁止や、ゴミの分別方法などを明記したハウスルールを提示し、同意を得ることが挙げられます。信頼できる運営代行会社に管理を委託し、24時間体制でトラブルに対応できるようにすることも対策の1つです。
近隣と良好な関係を維持し、安定した民泊運営を続けるためにも、事前の対策を怠らないようにしましょう。
投資を始めるための具体的なステップ
民泊投資をスムーズに始めるためには、各ステップの全体像を十分に理解しておく必要があります。民泊経営をスタートさせる手順は以下のとおりです。
- 資金計画の立案
- 情報収集と物件選定
- 金融機関への相談
- 行政への申請手続き
- 運営・集客の開始
1|資金計画の立案
まずは、民泊を始めるための詳細な資金計画を立てます。はじめに「何に」「いくら」必要なのかを洗い出し、収支シミュレーションを徹底しましょう。その後、資金調達方法を検討し、ここまでの内容をまとめた事業計画書を作成することで、資金計画が立てられます。
2|情報収集と物件選定
資金計画を立案すれば、次にターゲットとするエリアの条例や競合の状況を調査し、物件を選定します。民泊の営業ルールは自治体ごとに異なるため、必ず物件所在地の役所のホームページなどで用途地域や営業日数の制限を確認しましょう。物件は、駅からの距離や周辺の観光スポットへのアクセス、間取りなどを考慮し、事業計画に合ったものを選ぶとよいでしょう。
3|金融機関への相談
物件購入やリフォームで自己資金が不足する場合、金融機関からの融資を検討します。民泊事業は新しい投資分野であるため、すべての金融機関が融資に積極的な訳ではありません。事業計画書や収支シミュレーションを準備し、事業の将来性を具体的に説明して、融資を引き出しましょう。
4|行政への申請手続き
物件の準備が整えば、行政へ申請手続きを行います。物件を管轄する消防署で「消防法令適合通知書」を取得し、保健所や自治体の担当窓口で、民泊新法の届出や旅館業法の許可申請を行います。申請には多くの書類を準備する必要があるため、行政書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
5|運営・集客の開始
すべての許可が下りれば、いよいよ運営開始です。主な集客方法は、AirbnbやBooking.comなどの民泊予約サイト(OTA)への掲載が一般的です。物件の魅力を最大限に伝える写真や紹介文を用意し、競合の価格を調査しながら宿泊料金を設定します。SNSやホームページを運用しながら、多角的に集客することもおすすめです。
まとめ|民泊投資で高利回りを実現するには戦略が重要
今回は、民泊投資の基礎知識や高利回りを実現する戦略、リスク対策を解説しました。民泊投資は、インバウンド需要の回復を背景に高い収益性が期待できますが、成功には戦略的な物件選びと徹底したコスト管理が必要です。
また、法規制の変更や近隣トラブルなどのリスクを事前に把握し、対策を講じることも重要となります。民泊投資で高い収益を目指すためにも、まずは余裕を持った資金計画を立て、着実に準備を進めていきましょう。