「金利が上がった分、家賃も上げたい」
不動産投資をしているオーナーにとって、金利上昇は気になる問題です。銀行から融資を受けて物件を購入している場合、金利が上昇すればローンの利息負担が増え、毎月の返済額やキャッシュフローに影響する可能性があります。
そこで考えたくなるのが、「金利が上がった分だけ家賃も上げられないか?」ということです。
しかし、結論からいうと、金利が上昇したからといって、家賃を自由に引き上げられるわけではありません。家賃は、ローンの返済額ではなく、周辺の賃貸相場や入居者の需要、物件そのものの競争力などによって決まるからです。
一方で、東京・一都三県などでは賃料が上昇しているエリアもあり、地域によって「家賃を上げやすい物件」と「上げにくい物件」の差が広がっています。
そのため、金利上昇局面では、単純に家賃を上げることだけを考えるのではなく、
「今持っている物件は、これからも賃料を維持・上昇させられるのか」
という視点が重要になります。
場合によっては、現在の物件を売却し、より賃貸需要や賃料上昇の余地がある物件へ資産を組み換えることも、一つの選択肢です。
このコラムでは、金利上昇と家賃の関係から、東京・一都三県と地方・郊外の賃料格差、キャッシュフローへの影響、そして不動産オーナーが検討したい「資産組み換え」について解説します。
目次
金利が上昇すると家賃は上げられるのか

まず押さえておきたいのは、金利と家賃は、それぞれ異なる要因によって決まるということです。
投資用物件を購入する際、多くの不動産オーナーは銀行からローンを借り入れます。たとえば3,000万円を借りて物件を購入している場合、金利が2%から3%に上昇すれば、ローンの利息負担は増えます。
一方、入居者が支払う家賃は、金利とは異なった指標で金額が決まります。
- 周辺の賃貸相場
- 物件の立地
- 駅からの距離
- 築年数
- 間取り
- 設備
- 周辺の競合物件
- 入居者の需要
つまり、金利上昇 → ローン負担増という関係はありますが、金利上昇 → 家賃上昇と自動的につながるわけではありません。
家賃は「オーナーが必要な金額」ではなく「市場が受け入れる金額」で決まる
「家賃は市場が受け入れる金額で決まる」
ここが、不動産投資において非常に重要なポイントです。たとえば、周辺の物件が月6万円前後で募集されている地域で、金利上昇によってローンの返済額が増えたからといって、家賃を7万円に設定したとします。
入居者から見れば、同じような条件の物件が6万円で借りられるのであれば、あえて7万円の物件を選ぶ理由はありません。
その結果、入居者の流れが変わる可能性があります。
↓
問い合わせが減る
↓
空室期間が長くなる
↓
年間の家賃収入が減る
このようなことも考えられます。
つまり、家賃を上げられるかどうかは、金利ではなく、その地域の賃貸市場に上昇余地があるかで判断する必要があります。
【知っておきたい】家賃を上げられる物件とは?
では、そのような可能性があるにも関わらず、家賃を上げることができる物件にはどんなものでしょうか。家賃を引き上げても入居者がつきやすい物件には、共通する特徴があります。
たとえば、以下のような条件を満たしている場合です。
《 家賃を引き上げても入居者がつきやすい物件の特徴 》
- 周辺の賃貸需要が強い
- 駅から近い
- 都心へのアクセスが良い
- 大学や企業などの需要がある
- 再開発などによって地域の魅力が高まっている
- 周辺の募集家賃そのものが上昇している
- 競合物件が少ない
- 設備や間取りなどの競争力がある
このような物件は家賃を上げても引き続き入居者が住み続けてくれたり、退去したとしてもすぐに入居者が決まったりする傾向にあります。反対に、人口減少が進んでいる地域や、空室物件が多い地域では、金利上昇分をそのまま家賃に反映するのは難しくなります。
だからこそ、金利上昇をきっかけに「家賃を上げる」という発想だけでなく、「今の物件は、家賃を上げられる市場にあるのか?」と確認することが大切です。
【東京・一都三県の現状】賃料上昇の流れ
実際に、現在の賃貸市場では地域によって家賃の動きに差が出ています。
アットホームが2026年8月に公表した「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」によると、首都圏では東京23区、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県のすべてでマンションの平均募集家賃が前年同月を上回りました。特に東京23区では、シングル向きマンションの平均募集家賃が11万4,339円となり、過去最高値を更新しています。(*参考1)
また、神奈川県のシングル向きマンションは8万2,593円で前年同月比11.8%上昇、埼玉県は7万2,627円で同10.9%上昇しています。(*参考2)
一都三県全体を見ても、賃料の上昇が確認されています。
*参考1:2026年8月 全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向 |アットホーム株式会社
*参考2:8月の東京23区の単身向けマンション平均家賃11万4339円で最高値更新 神奈川・埼玉でも前年比10%超上昇|
2026年8月の一都三県の賃貸データ
| エリア | 平均賃料 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 東京都 | 69,327円 | +5.40% |
| 神奈川県 | 60,351円 | +2.68% |
| 埼玉県 | 61,462円 | +2.13% |
| 千葉県 | 61,294円 | +1.21% |
※参考:【2026年8月版】GLC賃貸市場レポート(平均賃料は同レポートの集計値)
もちろん、東京だからといって、すべての物件で家賃を上げられるわけではありません。しかし、賃貸需要が強い地域では、周辺の募集家賃そのものが上昇しているため、オーナーが家賃を見直せる余地も生まれます。
なぜ東京では家賃が上がりやすいのか
背景の一つが、賃貸需要の強さです。
東京には仕事、学校、商業施設、医療機関などが集中しています。就職や転職、進学などをきっかけに住まいを探す人も多く、一定の賃貸需要が継続しやすい地域です。また、住宅価格が高くなることで、「購入するよりも、まずは賃貸」という選択をする人が増える可能性もあります。
実際、2026年8月の賃料動向について、アットホームは都心部で高止まりが続く一方、周辺エリアへ需要が移り、全体の家賃を押し上げていると分析しています。(*参考3)
つまり、家賃が上がっている背景には、単純な「金利上昇」ではなく、その地域で住宅を必要とする人がいることがあります。
これは、不動産オーナーが今後の物件を考えるうえで非常に重要なポイントです。
*参考3:8月の東京23区の単身向けマンション平均家賃11万4339円で最高値更新 神奈川・埼玉でも前年比10%超上昇|
地方・郊外では家賃が金利上昇に追いつかないことも

一方、地方や郊外の物件の場合、金利上昇によるローン負担の増加に対して、家賃を同じように引き上げることが難しいことがあります。
その理由は、入居者の支払える家賃に上限があるためです。
たとえば、周辺相場が月5万円の地域であれば、オーナーがローンの返済額を理由に5万5,000円へ値上げしても、入居者が納得するとは限りません。周辺に同じような条件の物件があれば、より安い物件へ流れてしまう可能性があります。
「物件価格が安い=安心」ではない
また地方の不動産は、東京と比較すると物件価格が安いケースがあります。そのため、少ない現金で購入できたり、高い表面利回りが期待できたりすることもあります。
しかし、不動産投資では、購入時の利回りだけを見るのでは不十分です。
重要なのは、「その家賃を、今後も維持できるのか」ということです。
家賃が長期間上がらない一方で、
- 金利
- 修繕費
- 管理費
- 固定資産税
- 火災保険
- 空室期間
などのコストが上昇すれば、実際に手元に残る現金は少なくなります。
新築時の収益性だけで物件価値を判断しない
特にアパートなどでは、新築時には設備や外観の新しさを評価して、高めの家賃を設定できる場合があります。
しかし、築年数が経過すると、新築物件との差が大きくなります。家賃を維持するために設備を交換したり、リフォームしたりする必要が出てくることもあります。
その結果として、家賃は横ばい+修繕費は増加+金利も上昇という状況になれば、キャッシュフローは徐々に圧迫されます。
だからこそ、金利上昇局面では「今の家賃がいくらか」だけではなく、その家賃を今後も維持できるかまで考える必要があります。
家賃据え置き×金利上昇でキャッシュフローはどう変わる?

ここでは、金利上昇によって不動産投資のキャッシュフローがどの程度変わるのか、簡単に試算してみましょう。
試算条件
※元利均等返済・金利が全期間同じと仮定した単純試算です。実際のローンでは返済条件や金利タイプによって異なります。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| ローン残高 | 3,000万円 |
| 返済期間 | 25年 |
| 金利 | 2.0% → 3.0% |
| 家賃収入 | 月18万円 |
| その他経費 | 月3万円 |
| 家賃 | 金利上昇後も据え置き |
金利2.0%の場合、毎月のローン返済額は約12万7,000円です。これが3.0%になると約14万2,000円となり、毎月約1万5,000円の負担増になります。
年間では約18万円の差です。
キャッシュフローの変化
| 金利2.0% | 金利3.0% | |
|---|---|---|
| 家賃収入 | 18万円 | 18万円 |
| ローン残高 | 約12.7万円 | 約14.2万円 |
| その他経費 | 3万円 | 3万円 |
| 月間キャッシュフロー | 約2.3万円 | 約0.8万円 |
| 年間キャッシュフロー | 約27.6万円 | 約9.6万円 |
このケースでは、家賃を上げられなければ、金利が1%上昇することで年間キャッシュフローが約18万円減少します。もちろん、実際の返済額はローンの種類や残存期間、金利タイプなどによって変わります。
それでも、「家賃が変わらない状態でローンの負担だけが増える」という状況が、不動産オーナーの収益にどのような影響を与えるのかを考える材料になるでしょう。
「毎月プラスだから大丈夫」とは限らない
月2万円のキャッシュフローが出ている物件でも、金利上昇によって月5,000円になれば、余裕は大きく変わります。
さらに、
- エアコンの故障
- 給湯器の交換
- 外壁・屋根の修繕
- 空室
- 原状回復
- 入居者募集費用
などが発生すれば、まとまった現金が必要になることもあります。
そのため、金利上昇時には、「今、返済できているか」ではなく、「金利がさらに上がっても持ち続けられるか」という視点で物件を見直すことが大切です。
家賃を上げられるか判断する4つのチェックポイント

では、自分が所有している物件について、「金利上昇分を家賃に反映できるのか」を判断するには、何を確認すればよいのでしょうか。
単純に周辺の家賃が上がっているかだけではなく、現在の家賃と適正賃料との差、入居者の需要、物件の競争力、値上げによる空室リスクまで含めて考えることが重要です。
1.現在の家賃は周辺相場と比べて安くなっていないか
まず確認したいのが、現在の家賃と周辺の募集家賃との比較です。
周辺の類似物件が7万円前後で募集されているのに、自分の物件だけ6万円で貸しているのであれば、家賃を見直せる可能性があります。反対に、周辺相場が6万円なのに、すでに自分の物件を7万円で貸しているのであれば、さらに値上げするのは簡単ではありません。
つまり、「金利が何%上がったか」ではなく、「現在の家賃が市場価格と比べてどうなのか」を見ることが第一歩です。特に、同じエリアでも駅からの距離、築年数、間取り、設備などによって適正な家賃は変わります。
また単純に「近所の物件が8万円だから、自分も8万円」と考えるのではなく、できるだけ条件の近い物件と比較することが大切です。
2.退去後に家賃を上げられるか
家賃を見直すタイミングとして、重要なのが入居者の退去です。
現在の入居者との契約中に大幅な値上げを行うよりも、退去後に室内をリフォーム・修繕し、その時点の市場相場に合わせて募集条件を見直すほうが検討しやすいケースがあります。実際、東京23区では修繕・管理コストの上昇を背景に、退去のタイミングで家賃を上げて募集する動きが賃料上昇の要因の一つになっています。
たとえば、以下のような流れであれば退去後に家賃を上げられる可能性もあります。
↓
室内の修繕・設備更新
↓
物件の競争力を高める
↓
周辺相場を確認
↓
新しい募集条件を設定
ただし、リフォームに現金を使えば必ず家賃が上がるわけではありません。
「50万円かけてリフォームして、家賃を月3,000円上げられるのか」といったように、投資額と家賃上昇分を比較する必要があります。
3.値上げによって空室になるリスクはないか
家賃を上げる場合、忘れてはいけないのが空室リスクです。
月5,000円の値上げに成功したとしても、その結果として入居者が退去し、次の入居者が決まるまで3か月空室になれば、年間の収支では必ずしもプラスになるとは限りません。
単純化すると、
となりますが、もしも3か月空室になってしまったとすれば、
となる可能性があります。
このように、家賃の値上げ幅だけを見るのではなく、値上げによって入居者が離れる可能性まで含めて判断することが重要です。
また、賃料の変更はオーナーが一方的に自由な金額へ変更できるものではありません。東京都も2026年に、賃料値上げについて「貸主と借主双方の合意」が重要であることや、経済事情の変動などを踏まえて適正な賃料を検討する必要があることを案内しています。
そのため、金利上昇を理由に「返済額が増えたから、その分だけ家賃を上げる」という考え方ではなく、周辺相場や物件の価値など、入居者にも説明できる根拠を整理する必要があります。
4.家賃を上げるより、物件を変えたほうがよいかどうか
ここまで確認しても家賃を上げる余地が小さいのであれば、視点を少し変えてみる必要があります。「どうすれば今の物件の収益を改善できるか」ではなく、「そもそも、この物件を持ち続けることが最適なのか」と考えてみるのです。
周辺の賃料相場が長期間変わらず、空室期間も長くなっている。さらに、修繕費や金利負担が増えているにもかかわらず、今後の家賃上昇も期待しにくい――。
このような状況では、家賃を数千円引き上げることだけに注力しても、資産全体の収益性を大きく改善するのは難しいかもしれません。
一方で、現在の物件を売却すれば、まとまった現金を次の不動産投資に回せる可能性もあります。賃貸需要がより強く、将来的な賃料上昇も期待できるエリアへ資産を移すことで、金利上昇による負担を別の形で吸収できる可能性です。
もちろん、売却すれば必ず有利になるわけではありません。売却価格やローン残高、譲渡所得税、次の物件の購入価格や融資条件まで含めて比較する必要があります。
だからこそ、金利上昇への対応を考えるときは、
「今の物件で家賃を上げる」
という選択肢だけに絞るのではなく、
「今の物件を持ち続けるのか、それとも別の物件へ資産を移すのか」
というところまで視野を広げることが大切です。
不動産投資では、物件を「買ったら持ち続ける」のではなく、市場環境や収益性の変化に合わせて資産を入れ替えることも、長期的な資産形成のための一つの戦略になります。
家賃を上げるだけではない「資産組み換え」という選択肢

ここまで見てきたように、金利上昇に対して家賃を上げられるかどうかは、物件が置かれている賃貸市場によって大きく異なります。
もしも、以下に挙げる状況であれば、「家賃をどう上げるか」だけではなく、「物件そのものを組み換える」ことも選択肢に入ってくるでしょう。
《 物件そのものを組み替える検討もすべき状況 》
- 家賃を上げるのが難しい
- 空室が増えている
- 修繕費が増えている
- 金利上昇の影響を受けやすい
- 今後の賃料上昇が期待しにくい
- 売却しやすい価格になっている
こうした条件が重なっているのであれば、現在の物件を維持することだけにこだわらず、売却によって得られる資金を次の投資へ回す方法も考えられます。
これが「資産組み換え」です。
資産組み換えとは?
資産組み換えとは、現在所有している不動産を売却し、その資金や新たな融資を活用して、別の不動産へ投資先を移す考え方です。
具体的な流れとすると、
↓
現在の物件価格を査定
↓
売却した場合の手残りを確認
↓
ローンを返済
↓
次の購入候補を検討
↓
賃貸需要の強いエリアへ組み換え
このような流れで資産組み換えを行います。ここで重要なのは、「地方物件を売って、必ず東京の物件を買う」ということではありません。
東京・一都三県など、賃料上昇が確認されているエリアは候補の一つですが、最終的には物件単位で判断する必要があります。
「高利回り」から「収益の安定性」へ
地方物件を所有するメリットとして、「利回りの高さ」が挙げられることがあります。
しかし、金利上昇局面では、利回りだけでなく、「今後も安定して家賃収入を得られるか」という視点がより重要になります。現在所有している物件と組み換えを検討している物件を比較してみることでより具体的にメリット・デメリットが見えるので、検討中の方は一度試すことをおすすめします。
◼︎物件の比較|組み換えを検討する際の項目一覧
| 現在の物件 | 組み換え候補 | |
|---|---|---|
| 家賃 | (金額) | (金額) |
| 家賃の推移 | 上昇・横ばい・下落 | 上昇・横ばい・下落 |
| 空室率 | (何室・%) | (何室・%) |
| 物件価格 | 売却可能価格 | 購入価格 |
| ローン金利 | 現在の条件 | 新規融資条件 |
| 毎月の返済額 | (金額) | (金額) |
| 修繕リスク | 大きいか・小さいか | 大きいか・小さいか |
| 賃貸需要 | 強いか・弱いか | 強いか・弱いか |
| 将来の売却 | 売りやすいか | 売りやすいか |
このように実際の条件を並べてみると、「今の物件を持ち続けること」と「別の物件へ組み換えること」を比較しやすくなります。
資産組み換えで注意したい3つのポイント
資産組み換えを検討する場合には、売却価格だけで判断してはいけません。
特に重要なのが、譲渡所得税・売却タイミング・融資です。
ポイント1|譲渡所得税を確認する
不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税などがかかります。その際、土地や建物の譲渡所得は、給与などの所得とは分けて計算されます。
また、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、税率が異なります。国税庁によると、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得です。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
※別途、復興特別所得税等があります。実際の税額は取得費、譲渡費用、各種特例などによって異なります。(nta.go.jp)
したがって、売却を検討するときは、売却価格 − ローン残高 − 売却費用 − 税金という視点で、最終的に手元にいくら残るのかを確認することが大切です。
ポイント2|売却タイミングを考える
金利が上がったからといって、必ずしも「今すぐ売るべき」というわけではありません。
不動産は株式のように日々明確な価格がつくものではなく、買主の需要や融資環境などによって売却期間も変わります。特に地方物件の場合、売却を急ぐことで希望価格より低い価格で手放さなければならない可能性もあります。
そのため、事前にさまざまな視点から状況を常に確認しておくことが大切です。
《 確認しておくべき項目と状況 》
- 現在の査定価格
- 周辺の成約事例
- ローン残高
- 売却にかかる費用
- 税金
- 次に購入したい物件
- 新規融資の可能性
ポイント3|次の物件の融資を確認する
資産組み換えを考える際に、もう一つ忘れてはいけないのが次に購入する物件の融資です。
現在の物件を売却すれば、その売却代金を次の投資に充てられる可能性があります。しかし、売却した資金だけで新しい物件を購入できるとは限りません。多くの場合は、次の物件についても銀行から融資を受けることになります。
融資の審査では、年収や自己資金だけでなく、現在抱えている借入や購入する物件の価格・収益性、担保としての評価なども総合的に確認されます。立地や築年数、ローンを返済していくための収支バランスなども、融資条件に影響する要素です。
そのため、現在の物件を売却することだけを先に決めてしまうと、いざ次の物件を探した段階で「希望していた金額の融資を受けられない」という可能性もあります。
資産組み換えを進めるのであれば、「今の物件をいくらで売れるか」だけでなく、「売却後にどの程度の資金を用意でき、その資金と融資を組み合わせて、どのような物件を購入できるのか」まで一連の流れで考えることが重要です。
つまり、資産組み換えでは、売却・購入・融資を別々に考えるのではなく、一つの投資計画として組み立てることが大切です。
家賃を上げるか、物件を組み換えるか

ここまでの内容を整理すると、金利上昇に直面した不動産オーナーには、大きく3つの方向性があります。
| 選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| ①家賃を上げる | 周辺相場も上昇している | 入居者が納得する水準か |
| ②物件を保有する | 賃貸需要が強くCFに余裕がある | 今後の金利・修繕リスク |
| ③資産を組み換える | 家賃上昇が難しく収益性が低下している | 税金・売却価格・融資の確認 |
ここで大切にしたい考え方として、「どれか一つが正解ということではない」ということです。東京の駅近物件で周辺の家賃が上昇しているのであれば、まずは適正な家賃への見直しを検討する価値があります。一方、地方の物件で家賃が長期間変わらず、空室や修繕のリスクも高まっているのであれば、資産組み換えを検討する意味が出てきます。
つまり、「金利が上がったから売る」のではなく、「金利上昇によって今の物件を持ち続ける合理性があるのか」を考えることが重要なのです。
まとめ|金利上昇時は「家賃を上げられる物件か」を見直そう
金利が上昇しても、家賃を同じように引き上げられるとは限りません。周辺の賃貸需要や相場によっては、家賃を据え置いたままローン負担だけが増え、収益性が低下することもあります。
だからこそ、金利上昇をきっかけに、「この物件は今後も安定して収益を生み出せるのか」を見直すことが大切です。家賃を上げる余地が小さい場合には、物件を売却し、より賃貸需要や将来性のある不動産へ資産を組み換えることも選択肢になります。
まずは現在の物件がいくらで売却できるのか、売却後にどれだけの資金が残るのかを確認してみましょう。そのうえで、保有を続ける場合と資産を組み換える場合を比較することが、これからの不動産投資を考える第一歩になります。