「実家を相続したくない」と悩む人は決して少なくありません
親が亡くなった後、「実家を相続したくない」と悩む方は少なくありません。相続した不動産は、所有するだけで管理や固定資産税などの負担が発生します。そのため、「相続放棄をすればよいのでは」「とりあえず相続してから考えよう」と考える方もいるでしょう。
しかし、相続放棄には原則3か月という期限があり、一度相続財産を処分すると放棄できなくなる可能性もあります。また、不動産の状況によっては、相続放棄よりも売却を選んだ方が有利になるケースも少なくありません。
本コラムでは、「実家を相続したくない」と考えたときに知っておきたい相続放棄と売却の違い、それぞれを選ぶべきケース、「3か月の期限」で失敗しないためのポイントをわかりやすく解説します。
目次
「実家を相続したくない」と考える人が増えている
「親が亡くなったら実家を相続するもの」と考えられていた時代もありました。しかし近年では、「実家を相続したくない」と考える人は決して珍しくありません。
背景には、少子高齢化や人口減少に加え、ライフスタイルの変化があります。
かつては親と同居したり、実家を受け継いで住み続けたりするケースが一般的でした。しかし現在では、進学や就職を機に地元を離れ、そのまま都市部で生活基盤を築く人が増えています。そのため、親が亡くなっても実家に戻る予定がなく、「住む人がいない家」を相続するケースが増加しています。
また、不動産は現金のように簡単に分けたり換金したりできる財産ではありません。相続した瞬間から所有者として管理責任を負い、固定資産税や維持費などの負担も発生します。
このように、実家は「資産」である一方で、状況によっては大きな負担にもなり得ることから、「相続したくない」と考える人が増えているのです。
◼︎空き家は過去最多。相続後の放置が社会問題に
こうした背景を裏付けるように、日本の空き家は年々増加しています。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は約900万戸となり、空き家率は13.8%といずれも過去最高を更新しました。約7戸に1戸が空き家という状況であり、この30年間で空き家数は約2倍に増えています。
特に注目したいのが、賃貸や売却の予定がなく、別荘などでもない「その他の空き家」です。このような空き家は約386万戸まで増加しており、その多くは相続をきっかけに所有者が決まったものの、利用方法が決まらず管理だけが続いている住宅だと考えられています。
国土交通省も、管理されない空き家の増加は、防災性の低下や景観の悪化、地域活力の低下につながる課題として位置付けています。
【図】全国の空き家は30年間で約2倍に増加

全国の空き家数と空き家率の推移(1978~2023年)
出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」
実家が負担になりやすい主な理由

相続した実家が必ずしも「負担」になるわけではありません。立地や資産価値によっては、売却や賃貸活用によって資産として活かせるケースもあります。
一方で、利用する予定がない実家を所有し続ける場合は、維持管理や税金、相続人同士の調整など、さまざまな負担が生じる可能性があります。こうした負担を十分に理解しないまま相続すると、「想像以上に大変だった」と後悔するケースも少なくありません。
ここでは、実家を相続したくないと考える方が多い主な理由について見ていきましょう。
① 維持管理が必要になる
建物は放置すると老朽化が進みます。老朽化をしていなかったとしても草木の手入れ、建物の点検、郵便物の整理、台風・大雪後の確認など、空き家であっても定期的な管理が必要です。遠方に住んでいる場合は、交通費や時間も大きな負担になります。
② 固定資産税などの費用がかかる
不動産を所有している限り、固定資産税や都市計画税(対象地域の場合)が毎年発生します。さらに、修繕費、火災保険料、管理委託費、解体費用(必要な場合)なども将来的に発生する可能性があります。
「使わない家なのに毎年お金だけがかかる」という状況になることも少なくありません。
③ 相続人同士で意見がまとまらない
実家をどうするかについて、
- 売却したい人
- 残したい人
- 賃貸に出したい人
など意見が分かれることがあります。
不動産は簡単に分けられる財産ではないため、共有名義になると将来的な売却や管理の意思決定が難しくなり、相続人同士のトラブルにつながるケースもあります。
④ 資産ではなく「負債」になることもある
「家=資産」というイメージがありますが、すべての不動産に高い資産価値があるとは限りません。立地や建物の状態によっては、売却が難しく、買い手が見つかるまで長期間維持費だけがかかることもあります。また、建物の老朽化が進んでいる場合は、解体費用が数百万円かかるケースもあります。
そのため、「実家を相続すること」が必ずしもプラスになるとは限らないのです。
相続放棄だけでは解決しないケースもある
「実家はいらないから相続放棄しよう」と考える方は少なくありません。しかし、相続放棄は「実家だけを放棄する制度」ではないことを理解しておく必要があります。
相続放棄をすると、実家だけではなく、下記のような相続に関わる一切の財産を受け取ることができなくなります。
- 預貯金
- 株式
- 自動車
- その他すべての相続財産
また、相続放棄をしたからといって、その場ですべての責任がなくなるわけではありません。例えば、一定の場合には、次の管理者へ引き継がれるまで適切な管理が求められるケースもあり、「放棄したから何もしなくてよい」と考えるのは危険です。
さらに、一度相続放棄をすると、原則として撤回することはできません。
そのため、「実家はいらない」という理由だけで判断するのではなく、相続財産全体を確認したうえで慎重に検討することが大切なのです。
判断したい「相続放棄」と「売却」の違い
「実家を相続したくない」と考えた場合、多くの方が迷うのが「相続放棄」と「売却」のどちらを選ぶべきかという点です。この2つは似ているようで、仕組みも結果も大きく異なります。
まずは違いを整理してみましょう。
◼︎相続放棄と売却の違い
| 項目 | 相続放棄 | 売却 |
|---|---|---|
| 実家を所有するか | 所有しない | 一度相続してから売却する |
| 預貯金など他の財産 | すべて相続できない | 相続できる |
| 借金など負債 | 引き継がない | 引き継ぐ |
| 売却代金 | 受け取れない | 受け取れる |
| 手続き期限 | 原則3か月以内 | 特になし |
重要なのは、「実家だけ放棄する」という選択はできないという点です。もし相続財産の中に預貯金や収益不動産など価値のある財産がある場合、相続放棄をするとそれらもすべて受け取れなくなります。
一方で、売却を選ぶ場合は、一度相続したうえで不動産を売却するため、売却代金を相続人で分けることができます。
そのため、実家そのものは不要でも、資産価値がある不動産であれば売却した方がメリットが大きいケースも少なくありません。
では、それぞれどのようなケースで選ぶべきなのでしょうか。このあとは、相続放棄を選ぶべきケースと、売却を検討した方がよいケースについて詳しく解説します。
判断を誤りやすい「3か月の期限」の落とし穴

実は相続放棄には、法律で定められた期限があります。この期限を過ぎると、原則として相続放棄が認められなくなるため、実家をどうするか迷っている場合でも、早い段階から相続財産の確認や手続きの準備を進める必要があります。
一方で、「3か月以内なら自由に判断できる」と考えるのは危険です。期限内であっても、相続財産を処分するなど一定の行為を行うと、相続する意思があるとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
ここでは、相続放棄を選択する際に知っておきたい期限や注意点について解説します。
相続放棄の期限は「死亡を知った日」から3か月
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。
よく「親が亡くなってから3か月以内」と考えられていますが、正確には死亡日そのものが必ず起算日になるわけではありません。例えば、親と同居していた場合は、亡くなった事実をすぐに知るため、その日から3か月となるケースが一般的です。
一方で、
- 長年連絡を取っていなかった親が亡くなった
- 自分が相続人になったことを後から知った
- 先順位の相続人が放棄したことで相続権が発生した
といった場合は、相続開始を知った日が基準になる可能性があります。
ただし、相続放棄の期限については個別の事情によって判断が異なるため、「まだ大丈夫」「もう間に合わない」と自己判断せず、早めに確認することが大切です。
期限内でも財産を処分すると相続放棄できない可能性
相続放棄を考えている場合、注意したいのが「単純承認」です。単純承認とは、相続人が財産を引き継ぐことを認めたとみなされることをいいます。民法では、相続人が相続財産を処分した場合など、一定の行為を行うと単純承認したものとみなされる場合があります。
例えば、以下のような行為には注意が必要です。
- 実家を売却する
- 被相続人の預貯金を使う
- 相続財産を自分の名義に変更する
- 財産を勝手に処分する
これらを行った後では、相続放棄を希望しても認められない可能性があります。
一方で、実家の状態確認や、相続財産を把握するための調査まで禁止されているわけではありません。
「必要な確認」と「財産を処分する行為」は異なるため、判断に迷う場合は専門家へ相談することが重要です。
財産調査が間に合わない場合は期間伸長を検討する
相続放棄をするかどうか判断するには、実家だけでなく相続財産全体を確認する必要があります。しかし、被相続人が所有していた財産が多い場合や、借金の有無が分からない場合など、3か月以内に調査を終えることが難しいケースもあります。
そのような場合は、家庭裁判所へ相続放棄の熟慮期間の伸長申立てを行うことで、判断期間を延ばせる可能性があります。
例えば、
- 不動産を複数所有している
- 預貯金や証券口座の確認に時間がかかる
- 借入金の有無を調査している
- 相続人の確定に時間が必要
といったケースでは、期間伸長を検討する余地があります。
ただし、期間伸長は自動的に認められるものではなく、3か月以内に家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。「調査が終わっていないから、とりあえず待つ」という判断は危険です。
実家を相続したくないと考えた場合こそ、早い段階で財産状況を確認し、相続放棄と売却のどちらが適切なのかを判断することが大切です。
相続放棄をする際に知っておきたい注意点

相続放棄をすると、実家を含めた相続財産を引き継がずに済みます。そのため、「利用する予定がない実家を手放したい」「借金などの負債を相続したくない」という場合には有効な手続きです。
しかし、相続放棄をすればすべての負担から解放されるわけではありません。
特に実家のような不動産は、放棄後の管理や他の相続人への影響など、事前に理解しておくべき点があります。
相続放棄後も空き家の管理が必要になる場合がある
「相続放棄をすれば、実家の管理責任もなくなる」と考える方は少なくありません。しかし、状況によっては、相続放棄後も一定期間、空き家の管理に関わる必要があります。
民法では、相続放棄をした人であっても、次に財産を管理する人が管理を開始するまでの間、現に占有している相続財産について保存義務を負う場合があります。例えば、親と同居していた相続人が実家の管理をしていたケースでは、相続放棄後も建物の状態を維持するための対応が必要になる可能性があります。
具体的には、以下のような管理です。
- 建物が倒壊しないよう必要な管理を行う
- 不法侵入や不法投棄を防ぐ
- 敷地内の安全を保つ
といった対応です。
特に空き家は、人が住まなくなると急速に劣化します。換気不足によるカビの発生、雨漏り、害虫の発生、庭木の繁茂など、放置による問題が発生する可能性があります。
そのため、相続放棄を検討する場合でも、「手続き後は一切関係なくなる」と考えるのではなく、その後の管理についても確認しておくことが大切です。
相続放棄すると固定資産税の負担者も変わる
実家を所有している限り、固定資産税や都市計画税(対象地域の場合)が発生します。相続放棄をすると、原則としてその不動産を相続しないため、固定資産税を支払う義務も引き継ぎません。
ただし、注意したいのは「相続放棄をした時点で、すぐに別の所有者が決まるわけではない」という点です。相続放棄をした場合、次順位の相続人へ相続権が移ることがあります。
例えば、
というように、法律で定められた順位に従って相続人が決まります。
自分が相続放棄をしたことで、他の親族が相続人になる可能性もあるため、関係者への連絡や話し合いが重要です。また、相続人が全員相続放棄した場合でも、すぐに不動産の管理者が決まるとは限りません。
空き家を長期間放置すると、建物の老朽化による近隣トラブルや、特定空家等に指定されるリスクもあります。そのため、相続放棄を選択する場合は、手続きだけでなく、その後の不動産の扱いまで考える必要があります。
相続放棄は「実家だけ」を手放すことはできない
相続放棄でよくある誤解が、「不要な実家だけを放棄できる」というものです。しかし、相続放棄は相続財産全体を放棄する制度です。
つまり、実家を相続しない代わりに、
- 預貯金
- 株式
- 投資商品
- その他の不動産
など、プラスの財産も引き継ぐことはできません。
例えば、実家の価値は低くても、被相続人がまとまった預貯金や収益不動産を所有していた場合、相続放棄によってそれらも失うことになります。
そのため、「実家が不要」という理由だけで判断するのではなく、相続財産全体を確認したうえで検討することが重要です。
相続放棄を選ぶべきケースとは
ここまで解説したように、相続放棄には注意点があります。一方で、以下のようなケースでは相続放棄が適した選択肢になる可能性があります。
相続放棄を選ぶべきケース
- 実家の資産価値より借金などの負債が大きい
- 売却や活用が難しい不動産である
- 管理や維持費を負担できない
- 他の相続財産を含めても相続するメリットが少ない
特に、立地条件が悪く売却の見込みが低い土地や、老朽化が進み解体費用が大きくなる建物などは、相続後の負担が大きくなる場合があります。
ただし、不動産は見た目だけでは価値を判断できません。「古い家だから価値がない」と思っていても、土地に需要があったり、活用方法が見つかったりするケースもあります。
そのため、相続放棄を決める前に、不動産の価値を確認することも重要です。
実家を売却するという選択肢もある

「実家を相続したくない」と考えた場合、相続放棄だけが選択肢ではありません。不動産に一定の価値がある場合は、いったん相続したうえで売却する方法もあります。
相続放棄をすると実家を手放せる一方で、預貯金など他の相続財産もすべて放棄することになります。そのため、「実家は不要だけれど、財産としての価値は受け取りたい」という場合には、売却を検討した方がよいケースがあります。また、売却によって現金化すれば、相続人同士で分割しやすくなるため、遺産分割のトラブルを防ぐことにもつながります。
ここでは、実家を相続して売却する場合のメリットや注意点について解説します。
相続後に売却するメリット
実家を売却する大きなメリットは、不動産を現金化できる点です。不動産は預貯金と異なり、複数の相続人で均等に分けることが難しい財産です。
例えば、兄弟3人で実家を相続する場合、
- 1人が住み続ける
- 他の相続人へ代償金を支払う
- 共有名義にする
など、さまざまな調整が必要になります。しかし、売却して現金化すれば、売却代金を相続割合に応じて分けることができます。
そのため、
- 相続人間で公平に分けたい
- 誰も実家に住む予定がない
- 管理する人を決められない
といったケースでは、売却が有効な選択肢になります。
また、空き家を所有し続けることで発生する、固定資産税、建物の修繕費、草木の管理費、防犯対策費などの負担を減らせる点もメリットです。
利用予定のない実家は、時間が経つほど建物の劣化が進み、売却条件が悪くなる可能性があります。そのため、相続後の活用方法が決まっていない場合は、早めに売却の可能性を確認することが重要です。
売却前に確認しておきたいポイント
実家を売却する場合、すぐに売れるとは限りません。不動産の価値は、以下のようなさまざまな要素によって決まります。
- 土地の立地
- 周辺環境
- 建物の築年数
- 住宅の状態
- 最寄り駅からの距離
- 需要の有無
特に地方の実家では、「建物が古いから売れない」と思われることがあります。
しかし、不動産の価値は建物だけで決まるものではありません。築年数が経過した住宅でも、土地としての需要があれば売却できる可能性があります。
一方で、売却しやすい不動産であっても、相続登記が完了していなければ売却手続きを進めることはできません。2024年4月からは相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。
相続した実家を売却する場合は、以下の流れで進めることを忘れないようにしましょう。
相続した実家を売却するステップ
- 相続人を確定する
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記をする
- 売却活動を開始する
相続放棄より【売却】を検討した方がよいケース
実家を相続したくない理由が「不要だから」というだけであれば、必ずしも相続放棄が適しているとは限りません。以下のような場合は、売却を検討した方がメリットが大きい可能性があります。
相続放棄をすると、実家だけでなく預貯金やその他の財産もすべて放棄することになります。そのため、実家の価値は低くても、他に相続したい財産がある場合は慎重な判断が必要です。
土地の立地条件が良い場合や、住宅需要があるエリアでは、古い建物でも売却できる可能性があります。「管理が大変だから手放したい」という理由であれば、売却によって負担を減らしながら資産を現金化できます。
不動産は分けにくい財産のため、相続人間で意見がまとまらないケースがあります。売却して現金化することで、公平な分配がしやすくなり、将来的なトラブル防止につながります。
このように最初から「相続放棄しかない」と決めてしまうのは避けた方が後から後悔がない場合もあります。なぜなら、不動産にはそれぞれ異なる価値があり、所有している土地が将来的な資産になる可能性もあるためです。
- 駅に近い土地
- 住宅需要が高いエリア
- 再開発が進む地域
- 賃貸需要がある地域
などでは、売却や活用によって資産価値を活かせるケースがあります。一方で、売却が難しい不動産を相続すると、管理や税金の負担だけが残る可能性もあります。
重要なのは、「相続するか放棄するか」を感覚だけで決めるのではなく、不動産の価値や将来的な負担を比較して判断することです。相続が発生した場合は、早い段階で不動産の状況を確認し、自分にとって最適な方法を検討しましょう。
実家を相続したくない場合の判断フロー

実家を相続するか、相続放棄するか、売却するかは、家庭の状況や不動産の価値によって適切な選択肢が異なります。「実家が不要だから相続放棄」「思い出があるから残す」と感情だけで判断すると、後から大きな負担やトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
まずは、以下の流れで整理してみましょう。
① 相続財産全体を確認する
最初に行うべきことは、実家だけではなく相続財産全体を把握することです。
確認するポイントは以下の通りです。
- 実家以外に預貯金や有価証券があるか
- 借金や未払いの債務がないか
- 他に相続する価値のある不動産がないか
- 相続人は誰なのか
相続放棄をすると、実家だけでなくすべての相続財産を引き継げなくなります。そのため、「実家はいらない」という理由だけで判断するのではなく、相続全体を見て検討することが重要です。
② 実家の資産価値を確認する
次に、実家がどの程度の価値を持つ不動産なのかを確認します。
「古い家だから価値がない」と思っていても、土地に需要があるケースは少なくありません。
確認したいポイントとしては、
- 所在地や周辺環境
- 土地の広さや形状
- 駅や生活施設からの距離
- 住宅需要の有無
- 建物の状態
などがあります。特に土地は、建物の築年数とは別に評価されることがあります。
そのため、相続放棄を決める前に、不動産会社などへ相談し、売却可能性や資産価値を確認することが大切です。
③ 管理や維持が可能かを検討する
実家を相続した場合、その後は所有者として管理する必要があります。
- 定期的な換気や清掃
- 建物の修繕
- 庭の手入れ
- 固定資産税の支払い
などは、所有者として管理を前提に考えておきましょう。ただし、自宅から近い場合や将来的に住む予定がある場合は問題になりにくいですが、遠方に住んでいる場合は大きな負担になる可能性があります。
「今は何とか管理できる」と考えていても、仕事や家庭環境の変化によって負担になるケースもあるため、将来的に継続して管理できるかという視点も必要です。
④ 相続放棄・売却・保有から選択する
ここまで確認したうえで、自分に合った方法を選びます。自身が以下のどのケースに当てはまるのかをしっかり考えて最終的に判断をしましょう。
ケース1)相続放棄が適している可能性がある場合
- 借金などの負債が多い
- 実家以外にも相続するメリットがない
- 売却や活用が難しい不動産である
- 維持管理を継続できない
このような場合は、相続放棄を検討する余地があります。ただし、期限や手続き上の注意点があるため、早めの判断が必要です。
ケース2)売却が適している可能性がある場合
- 実家を利用する予定がない
- 土地に一定の需要がある
- 相続人で公平に財産を分けたい
- 空き家管理の負担をなくしたい
このような場合は、相続後に売却することで、負担を減らしながら資産を現金化できます。
ケース3)保有が適している可能性がある場合
- 将来的に住む予定がある
- 賃貸活用できる可能性がある
- 立地条件が良い
- 資産として保有するメリットがある
場合によっては、すぐに売却せず、活用方法を検討することも選択肢になります。
まとめ|相続放棄する前に不動産価値を確認すること

相続放棄は実家を相続したくないと考えた場合、有効な選択肢のひとつですが、相続放棄をすると実家だけでなく預貯金など他の財産もすべて手放すことになります。また、3か月という期限があるため、十分に調査しないまま判断すると後悔につながる可能性があります。
一方で、実家を相続したうえで売却すれば、不動産を現金化し、相続人で分けやすくすることも可能です。特に土地を含む不動産は、築年数や見た目だけでは価値を判断できません。古い実家であっても、立地や周辺環境によっては資産として活用できる可能性があります。
そのため、「不要だから放棄する」と決める前に、まずは不動産の価値や売却可能性を確認することが重要です。
相続では、手続きの期限だけでなく、その後の生活や将来的な負担まで考えて判断する必要があります。実家をどうするべきか迷った場合は、相続や不動産に詳しい専門家へ相談し、自分や家族にとって最適な方法を検討しましょう。